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2023/08/17

CREATIVITY

【ヒント!Blog】軽搬送用コンベヤのライン点検について

こんにちは。営業1課のNです。
日々の営業活動の中でお客様から伺った『お悩みごと』の解決方法についてご紹介する『ヒント!Blog』。

今回は「コンベヤベルトが急に破損して困った」というリスクに備える、軽搬送用コンベヤベルトのライン点検についてご紹介します。


目次



■ライン点検とその手順



製造現場では、コンベヤベルトの上で運ばれ、原料から製造、梱包、出荷まで一つの流れの中で製品が完成します。
そして、コンベヤベルトは消耗品です。

メンテナンス・交換をしないと…
・ ベルトが破断して搬送がストップ
・ 剥離したベルトの一部が製品に混入したりするリスクUP

ラインが止まってしまうと…
・ 生産量の減少、他のラインを時間外で稼働させて調整
・ 部分的に人が台車で運び、人手と手間をかけて搬送
・ 緊急で現地工事を請け負う工事業者を手配する(ベルト代+出張工事費が必要)

このように、人手も経費も掛かってしまう恐れがあります。

それを予防するのに有効となるのが『ライン点検』です。
ラインで使用しているベルトの型式と寸法、直近の交換日付を記載したライン表を作成し、それを元に管理します。
正確なライン図が出来ていれば、次回以降のライン点検は格段に楽になります。

また、例えば緊急時などで新人の方が対処しなければならない場合であっても

・どこにどのベルトが使われているのか
・そのストックがあるのかどうか

ということがすぐに分かれば、迅速な対応をすることができます。

ライン点検は大規模な工場や、製造スタッフの少ない省人化された工場においては、特に大きな効果があると言えます。



一般的な手順は以下の通りです。

1. ライン点検1回目 (工場のコンベヤベルトの網羅的な点検)
2. 点検の結果を元にライン図の作成
3. 状態の悪いベルトの手配 ⇒ 交換
4. 交換が近そうなベルトの手配 ⇒ 予備としてストック
5. 次回点検実施日の確認

初回のライン点検は生産ラインにあるすべてのコンベヤベルトについて確認を行なう必要があるため、基本的には生産が止まっているタイミングで一気に行います。

コンベヤベルトは多くのメーカーで、出荷時に裏面エンドレス部(繋ぎ目)付近に型式やサイズを印字していますので、印字がある場合はそれを確認することもできます。



ただ、印字がかすれて読めなかったり、過去に切りつめたり追加工したりした実績がある場合には、現品の検尺が必要になります。
蛇行防止桟や表面にマーキングなどの溶着加工がある場合は型式(色)や寸法、ピッチの確認も必要です。





■ベルトの検尺方法



ここではベルト長さの検尺方法についてご紹介します。
最も一般的な「送り測り」と言われる方法は次の通りです。
なお、コンベヤのスイッチはOFFにし、ベルトはコンベヤに付けたまま測ります。


<用意するもの>  定規・ノギス・巻き尺・ペン・(マスキングテープ)


1. ベルトの幅を巻き尺で測る。

2. スタート位置に印をつけ、「0」と明記する。
  スタート位置はエンドレス部分の近くにすると分かりやすい。
※マスキングテープを貼り、その上から書くとベルトを汚さずに済む

3. スタート位置から定規で500㎜測って印を付け、0.5と記入する。

4. 必ずコンベヤの平らな部分で測ること。
  もしプーリ部に掛かってしまう場合はベルトを引っ張ってずらす。

5. ベルトをずらして次の500㎜を測り、印を付けて「1.0」と記入する。必ず積算した数を書くこと。

6. 5を繰り返す。

7. 「0」の位置まで戻ってきたら計測終了。

※機長が長い場合…長い定規を使用して1Mずつ測っても可。


◎注意事項

1)必ずコンベヤは電源を切ってから作業を行います
スイッチが離れた場所にあるなどの場合は、他の人が誤ってスイッチを入れてしまわないよう、「点検中」の張り紙をするなどの安全対策を取ってください。

2)軽搬送用の小型コンベヤでも骨折や切断などの大きな怪我をする危険があります
ネームプレートやネクタイなど、巻き込まれる危険があるものは外してから作業を始めてください。

3)作業で使用したノギスやドライバーなどの工具類はきちんと片付けましょう
コンベヤ上にうっかり置き忘れたまま動かすと、コンベヤを故障させてしまう場合があります。





■状態の悪いベルトとは



状態の悪く、交換が必要なベルトの例としては以下のような状態が挙げられます

* エンドレス部(継ぎ目部)に亀裂がある、穴が開いている
* 耳(側面の縁部)が削れている、糸が出ている
* 蛇行防止桟が削れている、変形している

ライン点検の結果このようなベルトが見つかった場合にはすぐに手配して交換しましょう。
放っておくと異物混入など重大なエラーのリスクを高めてしまいます。

蛇行防止桟や耳シール加工など、付帯加工があるベルトは手配から10日以上掛かってしまうものが多いので、交換を急ぐ必要がある場合には、注文時にメーカーに相談した方が良いでしょう。





■ライン図の例



ライン図とは、工場の中の装置(加工機など)とその間を繋ぐコンベヤの位置関係を図にしたものです。
上流から順番に数字を振ります。
装置の型番、ベルトの型式とサイズ、交換の日付などをまとめた一覧と併せて運用します。







製造ラインは新商品の製造ラインを既設ラインの隙間に新設したり、製造数の変更に伴って装置を入れ替えたりということが頻繁に起きますので、最新状況の管理が大切です。

大規模工場でライン点検をする場合、点検作業自体を外注するケースもあるかと思います。
しかし、ライン図は作った後が肝心で、それを使って消耗品の管理をしていくのは現場の担当者です。
基本的にはライン点検は現場の方が中心となって行なう方が良いでしょう。




■まとめ



ライン点検は時間がかかって面倒、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ベルトの断裂トラブル対応も発生してしまうと、とても大変で時間のかかる作業です。

年度末や新規設備導入のタイミングなどを利用して時間を作り、是非、現場のメンバーと協力してライン点検を行なってみてください。

やってみたら色々な気付きを得ることができたというお話も聞きます。
特に物流の現場など、滅多にベルトの着脱を必要としないような場所では、ライン点検を「新人作業員の保守作業研修のチャンス」として活用することもできます。



ベルトの検尺や選定などでご不明な点がございましたら、問合せフォームよりご相談下さい。


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