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2024/05/22

CREATIVITY

【ヒント!Blog】軽搬送用コンベヤベルトの横桟加工と屈曲について

こんにちは。営業1課Nです。

 
前回の記事で縦桟(蛇行防止ガイド)の溶着加工とベルトの屈曲についてご案内しました。
今回の『ヒント!Blog』では横桟加工(プロファイル溶着加工)とベルト屈曲についてご紹介してみたいと思います。


目次




■平ベルトの横桟溶着と屈曲



傾斜搬送やワークの整列などのための横桟は材質や形状が多岐に渡ります。

平ベルトに使う横桟材料を大きく分けると以下の3種類あります。


1)成型桟(メーカー規格桟)

2)ベルト材を材料とした折り曲げ桟 

3)熱可塑性ポリウレタン(TPU) 角材を材料とした桟



1)メーカー規格成型品の桟

 メーカーのカタログ掲載品はそれぞれ最小プーリ径のデータも載っています。
 同じ形状でも材料(硬度等)が違うと最小プーリ径が異なる場合もあります。


2)ベルト材 折り曲げ桟

材質(ベルト型式)も形状も種類がたくさんあります。
基本は『T型』と言われるタイプで、ちょうど「T」の字を逆さにしたような形をしています。
ベルト表面に溶着する部分(通称”足”)の長さは20㎜程度あります。
桟溶着部のベルトは2枚が重なった状態となるため、最小プーリ径は大きくなります。

『T型』では屈曲が足りない場合、”足”が半分の『L型』や ”足”のない『I型』で対応できる場合もあります。
ただ、”足”が小さいということはつまり、溶着面積が少ないということです。
搬送物が重い場合には、桟が変形したり早期に剥離するリスクがありますので、十分な検討が必要です。


3)角材を材料とした桟

ウレタンの角材(F型桟)の場合は、素材の硬度と厚みが屈曲に影響します。
規格成型桟の中にも四角い形状のものがありますので、硬度やサイズが近ければ参考にすることができます。







各種折り曲げ桟と角材の桟(F型桟)については下記のリンクページに詳しく載っていますのでご覧ください。






■タイミングベルトの横桟溶着加工


搬送用タイミングベルトの場合は、ベルト材を使った桟はないので、溶着桟の種類は下記の2タイプです。


1)成型桟(メーカー規格桟)

2)熱可塑性ポリウレタン(TPU) 角材を材料とした桟

※他に金具やアタッチメントによる桟もあります(別の機会にご紹介します)



また、平ベルトと違い、タイミングベルトの場合はベルトのどの位置に溶着するかによっても屈曲に与える影響が変わります。

歯のちょうど山に当たる部分の真上に歯幅よりも薄い桟を溶着するのが基本です。
桟の厚みが歯の幅を超える場合は桟の早期剥離や屈曲不良のための歯飛びの発生リスクが高いためおすすめできません。

また、歯の谷に当たる部分に桟を溶着する場合は山と同じ寸法でも屈曲が著しく低下しますので、かなり大きめのプーリでないと回転不良になるリスクが高いと言えます。








どうしても桟に厚みが必要な場合は、桟の中心だけが溶着できるようになっている成型桟を付けたり、穴の開いたウレタン桟を溶着後、アタッチメントをネジ留めしたりするケースもあります。





特殊形状の横桟を溶着する場合には、金型や治具を作らなければならないケースがありますので、構想のものの製作可否を知りたい方は、問合せフォームからご相談ください。






■走行試験機の利用



横桟の屈曲に関しては保証されたデータがない場合が殆どです。
実際に溶着した桟がどのくらい耐久性があるのかは、実機で検証いただくほかはありません。

ただ、新規に設計した装置の部材としてのベルトを検討するとき、実機でのテストの前に簡易的にでもデータが欲しいというお話をいただくことがあります。

この声にお応えして、当社では走行試験機を用いた簡易走行屈曲試験を行い、複数の候補で迷っているお客様にデータを提供するサービスを行なっています。

例えば下記のようなケースです。

* 硬いウレタン材Aが希望だが、屈曲によって早期剥離するか心配なので少し軟らかいBと比較したい
* 実機と同じプーリ径で、仮に3か月回したと想定して2000万回の屈曲でも破損しないことを確認したい


走行屈曲試験は有償のサービスとなります。
(内訳:走行試験用テストベルトの製作費用、試験実施費用、報告書作成費用など)

ご希望のお客様は問い合わせフォームからご相談ください。









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