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2021/11/10

TECHNOLOGY

【ベルト加工Blog】搬送ベルトの特殊エンドレス加工

こんにちは。
営業部のMです。

搬送用ベルトのエンドレス方法と言えば、フィンガージョイント・ラップジョイントが主流となっているのは、ホームページ内の『取扱い商材-搬送ベルト』でも紹介していますが、ご覧いただけているでしょうか?

もしまだの場合は、ぜひこちらもご覧下さい!

今回のブログでは、エンドレス加工ページでは紹介しきれていない、特殊なエンドレスにスポットを当てて、ご紹介したいと思います。



目次



◆カバー付きクリッパーレーシング



カバー付きクリッパーレーシングとは、クリッパーレーシング(SUS)加工を施した後、ベルト材でカバーを取り付けて、金具部分が剥き出しにならないようにする加工です。

カバーは表面と裏面のどちらか、または裏表両方でも取り付け可能です。
尚、カバー取り付け部には段差が発生しますのでご注意下さい。


レーシング金具が搬送物やコンベヤプーリ等に接触してしまう事で、それらに傷がついてしまう可能性を排除したい、と考えられている場合にお勧めしています。




カバー材にどんなベルトを選定すればいいか分からない、といった場合でもお気軽にご相談下さい。
搬送物はどの様なものか、用途としてはどの様な想定か等を確認させていただければ、これまでの加工実績を基に、適切なカバー材を選定してご提案致します。


カバー材の取り付け方法は溶着加工、または接着加工になりますが、こちらもベルト基材とカバー材の組み合わせに合わせた加工のご提案をしております。






◆一体型カバー付きクリッパーレーシング



ベルトに厚みがある品種によっては、カバー材を後付けせずにベルト本体をカバーとする、一体型の加工が可能です。
下の写真は、SL-M1400RとSL-M9400Rのサンプルになります。


通常のカバー付きレーシングと比べ、カバー材取付け加工を必要としないために段差が生じることも無く、外観上も違和感のない仕上りとなります。



【SL-M1400R】



【SL-M9400R】



【SL-M9400R両開きパターン】

両開きパターンは、ベルトの進行方向を気にせずに取付できるメリットがありますが、使用中にカバーが捲れ上がってしまうのを防ぐため、コンベヤへの取付け作業後にカバーを接着する作業が必要になります。




◆新製品へのモノレーシング



ベルト材そのものを利用してレーシングジョイントのためのループを作る『モノレーシング』ですが、新製品のベルトについても加工方法を編み出して日々ラインナップを増やしています。

非付着性と滑り性を兼ね備えた、サンラインの新製品『ミスターシルキータッチ』でも、モノレーシング加工が可能です。


【SL-CS260】


これまで、シリコーンベルトのモノレーシングは材料の特性上、加工が出来ない状況でした。
しかし、シリコーンとポリウレタンのハイブリットコーティングであるミスターシルキータッチは、ポリウレタン製ベルトと同等の加工性になるので、モノレーシング加工の対応も可能となっています。


金属検出器用のベルトでレーシングをお考えの場合や、食品業界で金属の使用を避けたい等でお考えの場合には、特におススメできる加工だと思います。






◆パターン付きベルトへのモノレーシング



冒頭でご紹介した『エンドレス加工』のページでは、標準となる表面形状が平滑なベルトの加工紹介をしていますが、最近になってパターン付きベルト(表面が平滑ではないベルト)にモノレーシングが出来ないか?といった問い合わせが増えてきているように感じます。


いくつか頂いたお問い合わせの中で、『ベルト表面のパターンはどれくらい潰れてしまうのか?』『仕上がりを見てみたい』といった内容が多かったので、ご要望にお応えするため、サンプルを製作してご紹介したいと思います。


サンプルとして製作したベルトは、表面縦溝パターン付きの『SL-M2309』です。


ベルトでフック部を形成するため、高周波溶着加工で熱を加える際に、通常は縦溝などのパターンには潰れが生じてしまいます。
今回は、この潰れが極力発生しないようにいくつかのでこちらは縦溝のベルトですが、加工の際に縦溝パターンがなるべく潰れないよう工夫をしました。


今回のサンプルは、たまたま工場にあったSL-M2309を使用しましたが、モノレーシングは2PLYベルトへの加工が標準になっています。
しかし、1PLYベルトでもレーシング部の段差が問題無いのであれば、対応可能です。

※裏面の段差:ベルトを折り返してから裏面に溶着する為、その部位のみ2枚分の厚さ寸法となります





◆ミスターProジッパー



サンラインベルトの新しいエンドレス方法となる『ミスターProジッパー』は当社でも加工が可能です。
バンドー化学の強度試験をクリアした、ミスターProジッパーの加工認定工場となります。


また、これまでのレーシング加工同様、蛇行防止用のVガイド溶着加工や横桟加工にも対応可能です。


金属製のレーシングでは製品に傷をつけてしまう恐れのあった、リネン等の布地やクリーニング品類の搬送に最適なジョイント方法です。






◆その他特殊エンドレス



ここでは、当社に寄せられたご相談の中から、加工を通常とは異なった方法で提案して課題を解決することが出来た事例を、ほんの一部ですがをご紹介したいと思います。

※メーカーの標準施工とは異なる場合があり、メーカー保証外をご了承頂く上での加工対応となります。


【事例①】
SL-CS053を使用しているが、通常の施工だと裏面の滑り性が悪く、エンドレス部でコンベヤがストップしてしまうので何かいい改善策はないか、とのご相談。

提案内容
フィンガーテープを標準仕様から滑り性の良い材質の型式に変更し、さらに布目を付けて滑り性を改善。
また、フィンガージョイントのピッチ・ストロークを通常より小さなサイズにして、エンドレス部がコンベヤに及ぼす影響を最小限にする対応を実施。

メーカーで摩擦係数測定を行い、摩擦軽減が数値で実証された事をご報告し、走行テスト用としてご注文を頂きました。
その後、テスト走行で課題が改善されたとのご報告を受け、次回交換時より採用の運びとなりました。


【通常の仕上り】


【布目パターン付き】



【事例②】
SL-F1100を使用しているが、エンドレス部の厚みが理由で屈曲性が悪いので改善できないか、とのご相談。

提案内容
エンドレス部の厚みが本体部分より厚くならないよう、エンドレス加工時に使用するフィンガーテープを入れないジョイント方法を提案。

テスト用ベルトを納入し、課題の改善とエンドレス強度に問題はなく、課題が解決できたとのご報告を頂きました。


【通常のフィンガー形状】
フィンガーとフィンガーの間に隙間があるため、フィンガーテープを入れてのエンドレスが必要。


【フィンガーテープを入れない場合の形状】
フィンガーとフィンガーの隙間がないため、フィンガーテープを入れずにエンドレスが可能。



【事例③】
SL-M2309を使用しているが、本来のエンドレス強度よりも高い強度の加工が出来ないか、とのご相談。

提案内容
フィンガージョイント用で補強布と呼ばれる薄い布地が入った副資材を使用する施工と、更に強度が欲しい場合はこれを2層に重ねて使用する施工で提案。
2層重ねは厚み寸法でNGとの判断となったため、補強布を1層入れる仕様で、テスト用ベルトを納入しました。

テスト走行でエンドレス強度と厚み寸法に問題はなく、改善できたとのご報告を頂きました。


【通常のエンドレス(補強布なし)】


【補強布を1枚入れたエンドレス】



これらの事例以外にも、エンドレス部にかかる熱影響を極力狭い範囲に抑えるために高周波溶着でエンドレス加工を行う等、様々な加工方法で課題を解決するための提案をしています。

搬送ベルトでお困りの際は、ぜひ当社へご相談ください。


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