樹脂加工RESIN PROCESSING
コーティング加工・ディッピング加工
◆コーティング加工とは
コーティング加工とは、金属やセラミックスなどの母材の上に樹脂のコーティング剤を均一に塗布し、薄い皮膜を形成する加工です。
コーティングによって、母材にはない樹脂の特性を新たに付与することができます。
ボルトやナット、ベアリングのような小さな部品から、大きなものになると航空宇宙業界の産業機器に至るまで広く活用されています。
私たちの生活に身近な例として、フライパンのフッ素樹脂コーティングが挙げられます。これはフッ素樹脂の非付着性や耐熱性を利用した加工です。
他にも水分の多い環境では撥水性や防水性を、電気が使われる環境では絶縁性を付与するために利用されることもあります。
◆ディッピング加工とは
ディッピング加工とはコーティング加工の一つで、溶けた液状の樹脂の中に、コーティングしたい母材をどぶ付けする加工方法です。
複雑な凹凸のある形状でも加工することが可能です。
どぶ付けして引き上げた後、吊るして冷却させるため、吹き付ける方式のコーティングと比べて厚みが均一にはなりません。
また、冷却中に樹脂材が垂れてきてしまうので、吊るした際に下になる方向に凸部が生じてしまうデメリットもあります。
装飾性を重視する場合、後からこの凸部を削ることもありますが、切削した部分は表面のツヤがなくなってしまうので、再加熱や薬剤を使って溶かすなどの追加加工で仕上げを行う必要があります。
◆コーティング加工に代わる工夫
コーティング加工は、一部が剥がれてしまって機能が損なわれてしまった場合には、再コーティングをしなければならないというデメリットがあります。
大きな装置や、一度組み込んでしまうと取り外しが難しい部品等の場合は、コーティングが剥がれてしまうと装置ごと交換しなければならないケースもあります。
比較的単純なローラー等の丸棒形状の対象物であれば、高温の場所でグリップを持たせる場合や、非付着性・耐薬品性を持たせる場合においては、ローラーにシリコーンゴムや、フッ素樹脂製の熱収縮チューブを被せて被膜を形成する等の対応もできます。
熱収縮チューブは規格品のため入手し易く、施工に時間も掛からないのが大きなメリットです。